歯根のう胞
口腔外科での親知らずの処置は、スペース不足や歯並びの問題、炎症、埋没、痛みや不快感、歯周病予防の各ケースに適用されます。
これらの状況では、歯科医師が抜歯を勧め、これにより歯並びの改善や咬み合わせの正常化が可能です。
また、炎症が生じている場合は感染や歯周炎、歯根尖炎のリスクがあり、埋没した親知らずが問題を引き起こす場合には手術的な摘出が必要となります。
「歯根のう胞」って何だろう?
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歯根のう胞は珍しい疾患ではなく、日常生活の中で誰にでも起こりうる症状で、歯科診療ではよく見かける疾患です。
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歯根のう胞が生じるのは、歯髄(神経や血管が存在)が壊死した歯(失活歯)や過去に歯髄を除去した歯(根管治療後の無髄歯)です。
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歯髄が壊死してしまうのは細菌感染が主な原因とされています。
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歯髄がある管状の部分(根管)内に、何らかの理由で細菌感染が起こると、根の先端(微小な穴が開いています)を通じて顎の骨にも感染が広がり膿がたまります。
歯根のう胞の特徴
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01 自覚症状はありません
慢性状態であれば、歯肉部分の腫れ(根尖部の腫脹)や痛みなどを感じるなどの自覚症状はありません。
(レントゲン撮影で初めて発見することも多々あります) -
02 感染が起こった場合
・根尖相当部の腫脹
・自然痛(何もしなくても痛い)
・咬合痛(咬むと痛い)
・歯肉に瘻孔(膿の出口)をつくる
など、感染が進行した場合には様々な症状が現れます。
歯根のう胞の治療
①根管治療(のう胞が小さい場合)
歯、被せ物、詰め物などを削って、根管内から清掃、洗浄、消毒を行います。
痛み、歯肉の腫脹、排膿が治まったら、根管に薬剤を詰めて被せ物や詰め物をします。
②歯根端切除術(のう胞が大きい場合)
麻酔をして、のう胞付近の歯茎を切り開いて歯根のう胞を取り除き、洗浄後に切り開いた歯肉を糸で縫います。この際、感染源である歯根の端を少し削除します。
状態によっては、歯根の削除面に歯科専用の材料を詰めることもあります。これは逆根管充填と言い、被せ物や詰め物が除去できない、または根管の形状が複雑といったような根幹治療ができない場合に行われます。